西日本政経懇話会

筑豊第610回 「経済の転換点 九州に好機」 日本総研調査部長 石川智久氏

石川 筑豊.jpg 西日本政経懇話会の7月例会が10日、飯塚市であり、日本総合研究所調査部長でチーフエコノミストの石川智久氏=北九州市出身=が「当面の世界経済と九州~トランプ政権の影響をどうみるか」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
 2025年は世界経済にとって大きな転換点になる。トランプ政権になり、米国は保護主義、孤立主義に本格的に移行していく。中国はデフレ、就職氷河期、不動産バブル崩壊といった日本と同じ道を歩んでいる。中国経済は、崩壊はしないが停滞していくだろう。
 日本は米中に頼らない経済体制を整えることが大切だ。トランプ政権の関税政策に対し、粘り強く交渉するしかない。中長期的な視点で見れば、欧州、オーストラリア、グローバルサウス(新興・途上国)との貿易を拡大する必要がある。
 歴史の転換点の中で、サプライチェーン(供給網)の再編が重要になってくる。九州はものづくりに必要な水や電力がある。熊本や宮崎といった農業の盛んな県もあり、食料輸出を強化すれば稼げる好機になる。
 経営学や地方創生の手法をうまく使って地元が元気になってほしい。実験と思って何かに挑戦すればどんどん新しい知見が得られる。東京一極集中を是正するには地方で独自の文化をつくっていくべきだ。筑豊は炭鉱で栄え、高度経済成長を支えた。筑豊のDNAを刺激する石炭を軸に地方創生を考えていくのがいいのではないか。 (中山雄介)

2025年(令和7年)07月12日(土)

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