北九州502回 「日本の信頼性を生かせ」/東大の柳川教授が講演
西日本政経懇話会の10月例会が6日、小倉北区のステーションホテル小倉であり、東京大大学院経済学研究科・経済学部の柳川範之教授が「世界経済の構造変化と今後の日本企業のあり方」の演題で講演した。要旨は以下の通り。
環太平洋連携協定(TPP)交渉が大筋合意した。域内の関税を下げるための協定と思っている人が多いが、貿易のルールや規格を作る側面もあり、エリア内はその規格で流通できるという役割は大きい。
グローバル化のポイントは、新興国を中心とした取引の拡大であり、その要因は新興国の国内総生産(GDP)の高まりやスキルの向上、多国間での工程間分業の増加といった新しい貿易構造だ。工程間分業の増加で地域が海外とつながるチャンスが増える。どう食い込むかが大事だ。
産業構造の変化は、うまく対応することでチャンスになる。信頼性の高さやきめ細やかなサービスなどは日本の強みだ。これらは日本の文化や歴史であり、他の国には簡単にまねできない。失わないためにも強く意識した経営が必要だ。
グローバル化で大切なのは企業理念を共有できるかである。明快なコンセプトをトップが持ち、説明に時間と労力を惜しまないことが大切だ。