西日本政経懇話会

筑豊第600回 ドキュメンタリー、本質見極める武器に KBC臼井氏講演 飯塚市で西日本政懇9月例会 

筑豊 臼井.jpg 西日本政経懇話会の9月例会が19日、飯塚市であり、九州朝日放送報道制作局役員待遇解説委員長の臼井賢一郎氏が「放送ジャーナリズムとドキュメンタリーの力」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
 ドキュメンタリーのベースとなっているのは、地方のニュースの現場だ。大変な思いをしている人、心を打たれる人などと出会い、深く取材していく結果が、ドキュメンタリーという形になっている。
 1992年には、アフガニスタンとパキスタンで人道支援に尽くした中村哲医師(享年73)を、日本のメディアとして初めて現地に入って取材した。「何十年かかるかもしれんですね」「裏切っちゃいかんですよね」―。中村さんが強い言葉だけど優しく語っているところに、何とも言えないすごみを感じた。当時の取材映像は、今もまったく色あせていない。
 テレビメディアが、SNS(交流サイト)に頼り、引用した情報を放送するのは簡単だが、私個人は、非常に疑問に思っている。取材者がこれまでの経験、若い感性といった人間力をフル稼働して、取材相手である人間と向き合い、紡ぎ出すのがドキュメンタリー。これこそ、玉石混交の情報過多の今、本質は何かを見極める上で最も大きな武器になるかもしれない。そんな観点で見ていただけるとありがたい。 (吉田真紀)

2024年(令和6年)09月20日(金)

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