筑豊第588回 健康と向き合う端緒に/線虫でがんリスク検査
西日本政経懇話会7月例会が6日、飯塚市内であり、九大発のベンチャー企業
「HIROTSUバイオサイエンス」(東京)の福岡R&Dセンター長、畠山英之氏が「線虫でがんを早期発見!がんリスク検査『N―NOSE(エヌノーズ)』」と題して講演した。要旨は以下の通り。
当社は世界で初めて線虫によるにおいの反応を利用して、尿からがんのリスクを判定する検査「N―NOSE」を実用化した。
線虫の嗅覚は、人の数百万倍から数億倍とされる犬に匹敵すると言われている。検査は、この線虫が患者の尿に含まれるがん細胞特有のにおいに反応することを利用したものだ。
現在のがん検診は、がんの種類や進行度の特定に重きを置き、早期発見が難しい場合がある。一方、「N―NOSE」はがんの有無そのもののリスクを超早期の段階に高い確率で感知することができる。
ただ、医療的な診断ではないため、がん検診を受けるための「入り口」として定期的に使ってもらえればと思う。
日本は他の先進国に比べ、がん検診の受診率が低い。高齢化社会の中、がんは身近な病気になっている。「N―NOSE」が自分の健康と向き合い行動を変えるきっかけになれば、という思いで研究開発に取り組んでいる。 (坂井彰太)
2023年(令和5年)07月07日(金)