西日本政経懇話会

北九州514回 北方領土交渉、失敗できない/元外交官、東郷氏が講演

mML7PTH9E.jpg 西日本政経懇話会の11月例会が29日、小倉北区のホテルであり、ロシア外交に携わった元外交官の東郷和彦京都産業大教授=写真=が「安倍内閣の外交課題」と題し講演した。要旨は次の通り。

 太平洋戦争以来、日本が解決できていない外交課題の一つが北方領土問題だ。安倍晋三首相は、父の晋太郎元外相が果たせなかった日ロ関係改善に強い思いを持っており、首相に返り咲いた2012年から、対ロ交渉の準備を進めてきた。

 安倍首相とロシアのプーチン大統領は、通訳だけを入れた会談を繰り返している。「2人で解決する」という両首脳の決意の表れだろう。何を話し合ったのかは表に出ていない。交渉をうまく進める上では良いことだが、事務レベルでも同じ意識で交渉に臨むことが求められる。

 日本は1990年代、ロシアが提示した歯舞と色丹の2島先行返還協議を、4島一括にこだわって蹴るなど、問題解決の機会を逃し続けてきた。失敗は繰り返せない。政府は国民が納得する案を考えてほしい。

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