西日本政経懇話会

福岡第618回 「今年は世界経済の歴史的転換点」/ 日本総研調査部長 石川智久氏

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 西日本政経懇話会の7月例会が9日、福岡市であり、日本総合研究所調査部長の石川智久氏=写真=が「当面の世界経済と九州~トランプ政権の影響をどうみるか」と題して講演した。要旨は次の通り。
 2025年は世界経済の歴史的転換点になる。
 トランプ関税などトランプ米大統領の政策転換で、世界経済の不透明感は高まる。米国は保護主義、孤立主義に本格的に移行し、大統領が代わっても基本的に元に戻らないだろう。
 中国は不動産バブル崩壊やデフレ、就職氷河期の深刻化など日本が来た道を歩んでいる。国有企業優先で効率性も落ち、中国の経済成長率は停滞していくと考えている。
 グローバルな財政問題もある。財政が厳しいのは日本だけではなく、米国や欧州も同じ。長期金利は上昇しており、利払い額増加の影響がこれから顕在化してくればますますきつくなっていく。世界規模で進む少子化の問題もある。
 戦争や紛争が続く中で、地政学リスクが食糧やエネルギーに波及し、経済に悪影響を与えることも起き得る。
 時代の転換点にあり、トランプ関税もある中で重要になってくるのは、サプライチェーン(供給網)の再編だ。今、世界でもの作りができる国はそんなにない。これを日本のチャンスにどうやってつなげるか。
 九州にはもの作りに必要な水も、電力も豊富にあり、優良な中小企業、製造業もある。九州を世界の工場にすることもできるのではないか。 (久知邦)

2025年(令和7年)07月12日(土)

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