久留米第606回 トランプ氏とガザ問題テーマ/元外務省の中川氏が講演
西日本政経懇話会5月例会が14日、久留米市内であり、日本国際問題研究所客員研究員、元外務省交渉官の中川浩一氏が「トランプ2・0でガザ問題は解決するのか」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
米トランプ大統領は就任1期目でイスラエル側に付き、首都として認定したエルサレムへ米大使館を移転させた。イスラエルとアラブ諸国の国交正常化も先導した。その後「バイデン政権で中東情勢が悪化した」と主張している。
2期目就任直後にトランプ氏は「ガザは米国が所有する」と発言。エジプトやヨルダンなどに住民受け入れを求めた。自国の混乱につながる危機感から、アラブ諸国が移住を伴わない「ガザ復興計画」を採択するなどまとまりを見せた。本気でまとまれば、一筋の光が生まれるかもしれない。
米国によるイスラエルの支援強化が想定される中、トランプ氏は13日、シリアへの制裁解除を表明。米国が中東問題に注力すると相対的にインド太平洋への関心の薄まりが懸念される。台湾有事が取り沙汰される中国にとって都合が良い。
日本は石油輸入の95%を中東に頼り、中東情勢の安定は重要だ。日本では日米の関税交渉にばかり関心が行きがちだが、広い視野でトランプ氏がどう動くかを見るべきだ。 (岡部由佳里)
2025年(令和7年)05月16日(金)