久留米第578回 「水産資源、社会全体で保護を」/西日本政経懇話会11月例会/佐々木氏が講演
西日本政経懇話会11月例会が15日、久留米市で開かれ、一般社団法人「Chefs for the Blue」代表理事で、フードジャーナリストの佐々木ひろこ氏=写真=が「日本の水産資源を守り、食文化を未来につなぐために」と題して講演した。要旨は次の通り。
日本の近海には四つの海流があり、多様な魚が育つ環境がある。海の幸を使った郷土料理も多く、さまざまな食文化が形成されてきた。ところが、漁業・養殖業生産量はピークだった1984年の1282万トンから2019年に416万トンに低下。魚介類の国内自給率は20年には57%で、スーパーに並ぶタコはアフリカ産になるなど、多くの魚種が気づかないうちに外国産に置き換わっている。
海水温の上昇や、稚魚を育てる藻場の消失など複数の要因があるが、水産庁は海の再生産能力を超えた過剰漁獲が背景にあるとみている。いま、科学的根拠に基づいた新しい資源管理に取り組んでいる。
水産資源を守るため、社会全体で漁業者と魚価を支えるべきだ。消費者も「魚は安くて新鮮が当たり前」という感覚を捨てる必要がある。 (山下真)
2022年(令和4年)11月16日(水)