西日本政経懇話会

久留米第598回 番組通じ、本質を感じて/KBCの臼井氏が講演 

久留米 臼井.jpg 西日本政経懇話会の9月例会が9日、久留米市であり、九州朝日放送報道制作局役員待遇解説委員長の臼井賢一郎氏が「放送ジャーナリズムとドキュメンタリーの力」と題して講演した。要旨は次の通り。
 玉石混交の情報があふれる中、社会は変動の時代にある。これまでニュースを起点として、その時代の問題やこの人間を知りたいと思ったことから始め、その帰結としてドキュメンタリーをやってきた。
 約30年前、捜査犯罪と闘った男性を取材した。覚醒剤事件で有罪判決を受けた男性を巡る捜査で、福岡県警が白紙の調書を使って捜索令状を入手していた。男性の声に耳を澄ませた結果、真実に行き着いた。
 1992年にはアフガニスタンで人道支援に尽くした中村哲さんを、日本のメディアとして初めて現地に入って取材した。書籍では自信にあふれる印象だったが、実際は言葉を飾らない人だった。中村さんの亡き後に作った番組では、家族への取材で中村さんの新たな面も知ることができた。
 情報過多の時代。本質をどう見極めるかが大切で、それをやるのがメディアだ。取材者の人間力で取材相手に飛び込むことで本質が伝えられる。取材者がどう勝負しているか、そんな観点で番組を見てほしい。 (岡部由佳里)

2024年(令和6年)09月10日(火)

これまでの記事一覧