久留米第577回 日韓関係、動向を注視」 静岡県立大、奥薗教授が講演
西日本政経懇話会10月例会が6日、久留米市で開かれ、静岡県立大の奥薗秀樹教授(現代韓国政治外交)が「韓国政治のダイナミズムと尹錫悦(ユンソンニョル)政権」と題して講演した=写真。奥薗教授は北九州市出身。NHK記者などを経て研究者に転身、韓国・東西大学校の助教授などを務め、2020年から現職。要旨は次の通り。
日韓関係は1965年の国交正常化以降、最悪の状態と言われる。このままではいけないという共通認識があるが、互いに自国の主張ばかりで相手の主張に耳を傾けない状態だ。
韓国政治の歴史をみると、北朝鮮との経済発展競争や民主化運動などでダイナミックな変化を続けてきた。現在の尹錫悦政権は、日本との歴史問題で対立した文在寅(ムンジェイン)政権に代わって誕生したが、国会では少数与党で厳しい船出が続く。
注目すべきは、その歴史観だ。韓国にとって日本はかつて植民地支配され、自由を取り戻すため打ち勝つべき敵だった。しかし今ではウクライナ侵攻や米中覇権争いで民主主義が脅かされ、ともに力を合わせる隣人だと主張している。
一方の日本側も中長期的な国益を考えず、感情的な対立をしているだけでいいのか。日本側にも注目して日韓関係を見ていく必要がある。 (山下真)
2022年(令和4年)10月07日