久留米第603回 「弱者共存」で助け合いを/NPO法人抱樸の奥田理事長
西日本政経懇話会2月例会が26日、久留米市内であり、ホームレス支援に長年取り組むNPO法人「抱樸(ほうぼく)」(北九州市)の奥田知志理事長が「『ひとりにしない』という支援 『希望のまち』を創(つく)る」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
私の活動は路上生活者の支援から始まった。「ひとりにしない」という支援の根底に、人は弱いという認識がある。社会の本質は弱肉強食というより「弱者共存」で、弱いからこそ、協力し合うという知恵が生まれる。一方で、自己責任論が強まる社会では「助けて」と言えなくなっている。
生きづらさには、家がないことに象徴される「経済的困窮」と、人とのつながりがない「社会的孤立」がある。長年している炊き出しには、空腹を満たすだけでなく「あなたは一人じゃない」とつながりを持つ意味もある。時代が孤立や孤独に向かう中、伴走型支援が必要だと確信している。
北九州市で、多様な人の居場所となる複合型社会福祉施設「希望のまち」プロジェクトを進めている。誰でも「助けて」と言えるような場所を目指す。「まち」は、身近な人の変化に気づける家族のように機能し、子どもを育て、日常生活を支えていく。人は、自分が誰かにしてもらったことを、子どもにもしてあげる。そして実の親でなくとも、地域全体が、そのように次世代へ渡せたらと考えている。 (岡部由佳里)
2025年(令和7年)02月27日(木)