筑豊534回 習氏「1強体制」外交に影響も/神田外語大、興梠教授が講演
西日本政経懇話会6月例会が8日、飯塚市片島のパドドゥ・ル・コトブキで開かれ、神田外語大教授の興梠(こうろぎ)一郎氏が「習近平『1強』体制の中国」と題して講演した=写真。講演要旨は次の通り。 (中川次郎)
全国人民代表大会は3月、国家主席の任期を2期10年までとする規制を撤廃する憲法改正案を採択した。習氏が兼任する共産党総書記と中央軍事委員会主席は任期がなく、党・軍・国家のトップを死ぬまで維持できる。権力が集中するため、国民13、14億人の運命が1人の能力、感情、考えで左右される。
習氏の「一強」体制となって、経済や外交に影響が出始めている。中国の強硬的な外交政策に欧米が警戒感を強めており、「一帯一路」構想には、「知的財産権保護の分野で世界貿易機関(WTO)のルールを違反している」などとして、中国に駐在する欧州連合(EU)の27カ国の大使が連名で批判した。
米朝首脳会談を前に、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と習氏は、首脳会談を2回、行っている。会談まで中国は蚊帳の外に置かれていたが、大々的に報道させることで中国の影響力を示し、「俺(習氏)がメーンプレーヤーだ」と強調し、巻き返しを図っているのではないか。
2018年6月9日