西日本政経懇話会

福岡第558回 「複数の自分使い分けを」平野啓一郎さん講演

西日本政経懇話会の福岡例会が21日、福岡市・天神のエル平野啓一郎.jpgガーラホールで開かれた。本紙朝刊で小説「本心」を連載中の作家、平野啓一郎さん(44)=北九州出身=が「混迷の時代を生きる知恵」と題して講演した=写真。
 平野さんは、現代の生きにくさに「個性が求められる」点を挙げた。英語「インディビジュアル」の翻訳語である「個人」という言葉を紹介し、語源を「分けられないもの」と説明。一方で、「人間は対人関係ごとにいろいろな人格を持つ」として、それを「分人」と表現した。
 学校や職場、家庭など場面に応じて別々の分人が存在する。それを意識することは、多様性の確保、自殺を回避できる逃げ道、予測が難しい未来へのリスクヘッジなどにつながると指摘。「複数の自分を生きることを受け入れる。それが人生を良くすることにつながる」と締めくくった。
 (小川祥平)

2019年(令和元年)11月22日(金)

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