福岡527回 「多国間主義に転換すべき」/姜尚中氏が講演
西日本政経懇話会の2月福岡例会が28日、福岡市・天神の天神スカイホールであり、東京大名誉教授で熊本県立劇場館長の姜尚中(カンサンジュン)氏が「世界はどこに向かうのか、そして日本の選択は」と題して講演した。
姜氏は約220人の聴衆を前に、トランプ米大統領の登場や欧州での右派勢力の台頭で自由主義の価値観が揺らいでいるとし「日米関係ばかりに目を向けるのではなく、韓国などを加えた多国間主義にシフトし、リスクを分散させることが国益にかなう」と主張。日米関係は最も重要としつつ「二国間協議では日本が不利で、第1次産品の市場開放など過酷な条件を突き付けられる恐れがある」と訴えた。
一方、日韓関係の修復については、韓国の次期大統領の最有力候補が、歴史問題と、経済や安全保障を切り分けて考える「ツートラック外交」を打ち出していると楽観視。その上で「安倍政権は『米国とだけうまくやればあとは枝葉』という考え方からは脱却すべきだ」と語った。