西日本政経懇話会

福岡第581回  危機はコロナより気候変動/斎藤・大阪市立大准教授が講演

西日本政経懇話会3月例会が3日、福岡市であり、大阪市立大の斎藤幸平准教授が「なぜ『新しい資本主義』は気候危機を解決できないのか」をテーマに講演した=写真。斎藤氏の著書「人新世の『資本論』」はベストセラーになった。要旨は次の通り。

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 目の前にある危機はコロナより気候変動だ。ロシアがウクライナを侵略したのも、気温上昇で農業生産性のリスクが高まったロシアの気候変動に対する適応戦略。始まりに過ぎず、世界で食料や水の不足などの危機的事態が進行する。
 持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みや、環境政策で経済成長を図る「新しい資本主義」では脱炭素化は到底間に合わない。政治や企業のレベルでの議論も十分ではない。
 世界では、今の資本主義では乗り越えられず、主義そのものを変えるべきだとの主張が若い人たちから起きており、日本は遅れている。不必要な生産を減らし、労働時間を削減すれば、環境負荷や二酸化炭素の排出量は減らせる。ライフスタイルや働き方を変えることで幸福度も上げられる。 

(塩入雄一郎)

2022年(令和4年)03月04日

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