筑豊第567回 米中の切り離し「ない」/元日銀支店長 福本氏が講演
西日本政経懇話会9月例会が2日、飯塚市であり、大阪経済大教授の福本智之氏が「米中対立下の中国経済の先行き」と題して講演した。福本氏は日銀北京事務所長や国際局長などを歴任。2015~17年に北九州支店長も務め、今春退職した。講演の要旨は次の通り。
昨今の米中対立の背景には反中国に傾く米国の国民感情がある。バイデン大統領は少なくとも1、2年は中国への強硬な態度を変えないだろう。中国は現段階で軍事、経済面で米国に勝るのは難しいと捉えており長期戦に持ち込む戦略。米国がハイテク分野の禁輸措置など制裁を科す中、中国の対抗策は慎重な運用にとどまっている印象だ。
日本企業は「暗闇の中、2匹の虎(米中両国)の尾を踏まないかちゅうちょする」という厄介な状況だが、米国による中国経済との完全なデカップリング(切り離し)はないと私はみる。情報収集しながら、安全保障に関わらない分野では中国市場でのビジネスをやっていく必要があると思う。 (坂本公司)
2021年(令和3年)09月03日