筑豊第586回 技術革新で犯罪が変化/初代科学捜査官・服藤氏
西日本政経懇話会5月例会が17日、飯塚市内であり、
医学博士で最高検察庁参与の服藤(はらふじ)恵三氏が「科学捜査と捜査支援 回顧と展望」と題して講演した=写真。
要旨は次の通り。
警視庁科学捜査研究所時代に地下鉄サリン事件が起きた。科捜研での専門は薬毒物。当時の刑事部長から「オウム(真理教)の科学を解明してくれ」と言われ、オウム事件捜査に特別派遣された。その後、警視庁初代科学捜査官に任命され、科学的立証の立場から、和歌山毒物カレー事件など多くの事件に関わった。
長く取り組んだのは、情報や技術、科学を利用した「捜査支援」の確立。所轄署にいた時、犯罪捜査を巡る情報の活用が遅れていることに気付いた。そこで画像解析装置や、過去の捜査情報などを地図上でまとめて解析できるシステムの開発などを主導した。
捜査支援は、現場の刑事たちを自分の技術で助けられないかという思いを込めた仕組みだ。「現場のためにさせていただく」という精神を掲げ、科学と捜査の融合に人生を懸けてきた。
技術革新が進む中、犯罪もどんどん変化している。いい捜査手法でも数年で使えなくなる場合がある。捜査側も新しい技術について日頃から勉強して考え、次に起こる犯罪を予測しないといけない時代になっている。 (坂井彰太)
2023年(令和5年)05月18日(木)