久留米513回 「生前退位、天皇制の転機に」/共同通信の新堀氏が講演
西日本政経懇話会の10月例会が13日、久留米市であり、皇室や宮内庁を長く取材した共同通信社編集委員の新堀浩朗氏が「皇室取材の現場から」をテーマに講演した。要旨は次の通り。
8月、天皇陛下から生前退位をにじませるお言葉があった。生前退位ができる法制度にしてほしいということよりは、天皇の存在を捉え直し、活動あっての象徴天皇だということを理解してほしいというメッセージだったのではないか。皇位の安定的な継承、皇室の活動維持という課題全体への提起にもなっている。
生前退位に関する有識者会議の初会合が近く開かれる。早ければ、来年の通常国会にも法案が上程される。陛下のメッセージについて、多くの国民がどのように受け止め、皇室制度を考えていくのか。天皇と国民の間で一定の認識を持つことは、近代天皇制の転機となる可能性がある。 (片岡寛)