北九州第608回 コメ政策は総合的に/共同通信アグリラボの石井氏
西日本政経懇話会7月例会が17日、小倉北区のJR九州ステーションホテル小倉であり、共同通信アグリラボ編集長の石井勇人氏が「令和のコメ騒動と食料安全保障」の題で講演した。要旨は次の通り。
昨年からのコメの問題は、供給不足が原因だ。
コメは大きいサイズは主食用、中ぐらいなら外食用、小さければせんべいなどの加工用になる。だが、2023年夏は猛暑で例年よりも大きく育ち、加工用が不足した。このため加工業者が代わりに外食用のコメを買い、外食用が足りなくなったため主食用も買われるといったことが起き、24年春ごろから玉突きで値上がりしていった。
政府は一貫して、供給は十分で、流通に問題があるとしているが、それならば備蓄米を放出する必要はないのではないか。
石破茂首相らは、増産して余った分は輸出すると言っている。だが、もうかる輸出マーケットをつくるには長い時間がかかる。余ったコメを売れば、安く買いたたかれるリスクもある。
単に「たくさん作ればいい」という発想は間違っている。経済や気候変動などさまざまな要素を総合的に考えた政策にしなければ、解決にはつながらない。 (瓜生毬乃)
2025年(令和7年)07月19日(土)