福岡第583回 「ウクライナ戦争と平和の条件」 下斗米法政大名誉教授が講演
西日本政経懇話会の5月例会が11日、福岡市であり、法政大名誉教授の
下斗米伸夫氏が「ウクライナ戦争と平和の条件」と題して講演した=写真。
下斗米氏はロシア政治史が専門。講演要旨は次の通り。
ロシアとウクライナの問題は宗教とイデオロギー、資源が複雑に絡む長い歴史があることを知るべきだ。
旧ソ連が崩壊し、軍事同盟のワルシャワ条約機構が解体された時、北大西洋条約機構(NATO)も解消する案があったが、米政権がロシアの脅威を主張し、逆に東方拡大につながった。米国の過信がロシアを刺激し、後のプーチン政権を生んだ。プーチン氏も2014年のクリミア侵攻で“成功”しすぎたことが今回の侵攻につながった。
欧州はロシア産原油やガスの禁輸で今後やっていけるのか。米国も今年、中間選挙を控える。戦争は長期間、続くと考えざるを得ないが、誰も得をしない。仲介の鍵を握るのはイスラエル。ここはローマ教皇など宗教の出番かもしれない。
(川合秀紀)
2022年(令和4年)05月12日