久留米506回 与野党「国家像競え」/伊藤惇夫氏が講演
西日本政経懇話会の1月例会が27日、久留米市櫛原町の萃香園ホテルであり、政治アナリストの伊藤惇夫氏が「2016年の政治展望」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
安倍政権はなぜ強いのか。まず野党が非力だから。政権に相対するのが野党なのに、民主党政権が失敗した傷はまだ癒えていない。そして期待感を国民に抱かせるのがうまい。アベノミクス、地方創生、一億総活躍…。目玉政策を次々に上書きして飽きさせない。
最後は人事の成功だろう。副総理、官房長官、外相など主要閣僚が安定している。だが甘利明経済再生担当相の金銭授受疑惑は政権の大きな痛手になりかねない。物的証拠があるようだし、当事者が告発していることなどを考えると厳しいかもしれない。
今後の国会論戦にもよるが、現状では今夏の参院選は与党優位は揺るがないだろう。政権に正面からぶつかることができるはずの民主党も議席を減らす可能性がある。野党は個別政策ではなく、長期的な国家像を描いて対抗するべきだ。与党が緊張感を持ち続けるためにも、そうした競い合いが必要だろう。 (布谷真基)