久留米第604回 地域独自の産業政策が必要」/日本総研の石川智久氏
西日本政経懇話会の3月例会が18日、久留米市であり、日本総合研究所調査部長でチーフエコノミストの石川智久氏が「激動の世界経済~日本と九州は何をすべきか」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
2026年にかけての世界経済は実質国内総生産(GDP)成長率が3%台前半にとどまるとみている。ただ、米トランプ大統領の関税政策が全て実施されると押し下げ要因となり、景気後退の瀬戸際に陥ってしまう。米国による対中関税の引き上げで、サプライチェーン(供給網)の再構築も必要となる。
石破政権の地方創生に関しては、給付金のばらまきでなく、産業政策が盛り込まれており、方向性は評価できる。中小企業対策や地方への訪日客誘致の促進、1次産業強化による食料安全保障などを地方創生と絡めて進めることが重要だ。
地方では、各地で独自の産業政策が必要だ。九州は水と電力のある強みを生かし、米中対立による供給網の変化をチャンスにつなげるべきだ。日本政府の食料輸出強化も農業県には好機となる。九州は台風など多くの災害を経験している。防災や復旧の対応力の高さを生かしたビジネスを、輸出産業につなげることも提案したい。 (岡部由佳里)
2025年(令和7年)03月19日(水)