筑豊第587回 「地産地消で経済回復を」/輸出手がける小島氏
西日本政経懇話会6月例会が22日、飯塚市であり、輸出を手がける「ジェイテック・トランスファー・アンド・トレーディング」(福岡市)の小島尚貴代表が「日本経済の知られざるリスク『自損型輸入』とは?」のテーマで講演した=写真。要旨は次の通り。
「九州、地方を元気にしたい」と願って海外市場の開拓に携わってきた中で、日本経済には深刻な課題があると気づいた。それは私が名付けた「自損型輸入」だ。日本人が技術や資金を外国に持ち出して、日本にある商品を現地の安い労働力などを使って生産し、日本に輸入するというものだ。これでは価格差から国内業者の商品が売れず、経営が立ちゆかなくなる。
イ草・畳表産地の熊本県八代市では、安価な中国産に押され、13年間でイ草の作付面積が7割減り、30年間で9割以上の農家が廃業した。もはや産業の崩壊といえる。こうした輸入を主導したのは日本人だ。同様のことは農産物や陶磁器などでもみられ、日本の産地を衰退させている。
自損型輸入はデフレや不況の根源の一つと言える。
それなのにメディアや消費者はこうした製品を「安い割に高品質」といったコスパ(コストパフォーマンス)が良いと捉えがちだ。「コスパ病」を脱し、地元のものをできるだけ買い、生産者に回るお金を増やさないと、この流れは変わらない。地産地消のムーブメントを消費者主導で起こしていくことが、豊かで強く優しい経済を取り戻すことにつながる。(坂井彰太)
2023年(令和5年)06月23日(金)