北九州512回 英のEU離脱、先行き不透明/伊藤さゆり氏が講演
西日本政経懇話会の9月例会が27日、小倉北区のホテルであり、ニッセイ基礎研究所上席研究員の伊藤さゆり氏が「英国『EU離脱』と日本経済」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
英国は6月の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めた。当初は各国で株価が下落し「リーマン・ショックの再来か」と金融市場は動揺したが、英国が世界に占める経済規模は一定程度にとどまり、混乱は長引かなかった。
ただ、数年間にわたり世界経済の先行きを不透明にするのは確実だ。人やモノ、資本、サービスの移動が自由なEUの原則が、移民問題などを生み、英国の離脱を後押しした。今後は制限をどうするか、協議が注目される。
日本企業にとって英国は、欧州への「足掛かり的存在」だ。欧州にある4千余りの現地法人の約2割が英国に拠点を置き、周辺国と取引をしている。EU離脱で、関税や人の往来などに新たな制限が掛かれば、製造や金融業を中心に対応を迫られるだろう。