北九州第585回 「自損型輸入」に警鐘/輸出支援の小島氏
西日本政経懇話会6月例会が23日、小倉北区のJR九州ステーションホテルであった。輸出支援を手がける「ジェイテック・トランスファー・アンド・トレーディング」(福岡市)の小島尚貴代表が「日本経済の知られざるリスク『自損型輸入』とは」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
「九州を元気にしたい」との思いで輸出に携わってきた。衣食住分野の生産者が中国製の流通で売り場を失い、海外に販路を求める相談が多かった。この中国製の多くが、日本人が製造コストの安い中国に技術や資金を提供し、安価に製造して輸入する「和製メード・イン・チャイナ」だ。
こうした商品は国産より安く売っても利益があるが、半面、国産には値下げ圧力がかかる。経済的損失を引き起こすこの輸入手法を、私は「自損型輸入」と名付けた。一つの例がイ草。熊本県八代市では2003年までの13年間で作付面積が7割減り、20年までの30年間で農家の9割が廃業した。日本の畳問屋が中国で激安の畳を作らせ、輸入したためだ。
「安いが機能性も高い」とメディアと消費者が捉えた結果、産地や文化が衰える。歯止めをかけられるのは消費者だ。地産地消の成功事例を福岡や九州から作りたい。 (横田理美)
2023年(令和5年)06月24日(土)