久留米第595回 松下幸之助に学ぶ企業運営/全てを好機として/久保山武氏
西日本政経懇話会5月例会が23日、久留米市であり、パナソニック創業者松下幸之助氏の経営理念を伝えるインストラクター久保山武氏が「松下幸之助に学ぶこれからのリーダーの心構えとは?~持続可能な組織づくりに向けて~」の演題で講演した。要旨は次の通り。
「経営の神様」と言われるが、厳しい時代に優れた商品を開発した一技術者、一商人であり、それがベースになっている。人、モノ、金のあらゆる経営資源は「社会からの預かりもの」であり、預かった人材を成長させる責務があると考えていた。「企業は社会の公器」だからだ。一方、近年の企業不祥事では、経営者の倫理観の低下が浮き彫りになった。このような経営者では人は育たない。また、ネットの発達で、一度の不祥事が信頼を失墜させる「ワンストライクアウト」の時代にもなっている。
松下は「会社を大きくするか小さくするかは社会が決める」として客から学ぶ姿勢を保ち、常に自らを俯瞰(ふかん)する「自己観照」を貫いた。不易流行を併せ持ち、地域に貢献し、リスクに備え、学び続ける組織は強い。好不況関係なく、全てを好機と考える企業が永続するだろう。 (大矢和世)
2024年(令和6年)05月24日(金)