西日本政経懇話会

福岡第612回 「無意識の偏見に気付こう」/西日本政経懇話会/言語学者 クレシーニ・アンさん

福岡 アンちゃん.jpg 西日本政経懇話会の1月例会が20日、福岡市であり、北九州市立大准教授(言語学)で、本紙くらし面でコラム「アンちゃんの日本GO!」を連載中のクレシーニ・アンさんが「日本人になったアンちゃんが考える『多様性』」と題して講演した。要旨は次の通り。
 1997年に米国から来日したが、特に困ったのが日本語。語彙(ごい)の20%は外来語で、和製英語は日本でしか通じない。例えば「オープンカー」は英語だとconvertible。英語が母語の私は当初、無意識に和製英語を見下していた。日本文化や日本人を理解しようとする中で、和製英語は覚えやすく、発音もしやすい、魅力あふれる日本語だと気付いた。こうした経験が多様性を考える基となった。
 アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)は誰にでもあり、それに気付くことが互いを理解するための第一歩だ。2023年に日本国籍を取得後、「日本から出ていけ」などの誹謗(ひぼう)中傷を受けた。日本社会はまだ「出るくいは打たれる」ところがあるが、どんな「くい」でも生きていけるのが、本当に多様性のある良い社会だと思う。相手を理解しようとする姿勢が何より大事だ。

(伊東秀純)

2025年(令和7年)01月21日(火)

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