西日本政経懇話会

北九州第606回 トランプ氏と中東問題/元外交官、中川浩一氏が講演

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 西日本政経懇話会5月例会が13日、小倉北区であり、日本国際問題研究所客員研究員、元外務省交渉官の中川浩一氏=写真=が「トランプ2・0でガザ問題は解決するのか」と題して講演した。要旨は次の通り。
 イスラム組織ハマスは2023年10月、イスラエルに大規模攻撃を行った。イスラエルは報復としてハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区に攻撃を始めた。焦土と化し、死者は5万人を超える。
 近年、米国が中東への関わりを薄めていく中、今年、イスラエルを支援するトランプ大統領の2期目が始まった。トランプ氏は就任直後「ガザは米国が所有する」と語った。歴史を無視した発言で物議を醸す一方、中東の問題に再び関わる構えを見せたともいえる。
 問題を解決できるかは悲観的にみているが、トランプという“劇薬”がブレークスルーを起こすかもしれない。米国の経済的な支援を受ける周辺のエジプトやヨルダンがトランプ流のディール(取引)で、ハマス壊滅などに動く可能性はあるからだ。現在、トランプ氏は中東を訪問中で、世界が動向を注目している。
 日本にとっては遠い地の話のようだが、原油輸入の90%以上を中東に依存している。この地域の安定は日本の国益にとって非常に大事だ。また、中東は脱炭素化を進めようとしており、環境関連の技術を持つ日本企業にはビジネスチャンスがある場所でもある。 (井崎圭)

2025年(令和7年)05月15日(木)

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