筑豊515回 「生前退位」背景に複数の要因/共同通信の新堀氏講演
西日本政経懇話会10月例会が14日、飯塚市片島のパドドゥ・ル・コトブキで開かれた。共同通信社編集委員の新堀浩朗氏が「皇室取材の現場から」と題し、8月に天皇陛下が表明した「生前退位」や皇室制度のあり方などについて講演した。要旨は次の通り。
陛下はビデオメッセージのお言葉で「ここ数年、自分のあり方や務めにつき、思いを致すようになりました」とおっしゃった。病気や手術が増え、(8年ほど前から)当時の宮内庁長官らが「陛下は、皇室に関わるもろもろの問題を憂慮している様子だ」と語っていた。心労心痛、皇室制度の課題、加齢による衰えが重なって今回のお言葉になっている。(生前退位は)政府としては典範改正は内容・時間的な問題があり、特措法で当たるというのが既定の方針のようだ。
「女性宮家」については、(秋篠宮家の長男)悠仁さまがお生まれになって話が立ち消えたが、万が一、悠仁さまに事故があれば皇統が続かない事態になる。皇位継承の不安は解消されていない。
天皇陛下のお人柄も紹介したい。皇居内のテニスコートに行かれるとき、ご自身で運転する。テニスをするのは公的活動ではないとの理由。まじめな方という印象を周囲からも聞く。だから、ご自身が運転席、皇后さまが助手席に乗り、侍従らが後ろに乗る逆転現象が起きる。