久留米第608回 営農継続へ 米価どこに/西日本政経懇話会/共同通信アグリラボ・石井編集長
西日本政経懇話会7月例会が16日、久留米市内であり、共同通信アグリラボ編集長の石井勇人氏が「令和のコメ騒動と食料安全保障」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
コメ不足の原因として、供給は足りているのに流通が滞っているという「流通主犯説」がある。悪い業者が買いだめしているというが、あり得ない。温度や湿度を調整し、かさばるコメを入れる倉庫は不足する。
一方で「供給不足説」がある。2023年産のコメは猛暑で供給不足となった。コメは大きさで主食用、外食用など中米、加工用に分かれる。せんべい業者が不作の加工用を確保できず、高くても中米を買うようになり、中米、銘柄米と品薄になり、24年春、安い米から値上がりしていった。
石破政権はコメを増産して輸出するという。二期作にすれば増産できる。だが、もうかるマーケットを開発し、輸出するのは簡単ではない。コメが余ったら輸出では、安く買いたたかれる。
コメの需要が年10万トン減る中、25年産の(主食用)生産量は56万トン増えるという。放出した備蓄米を戻すため、政府が余ったコメを買い上げれば価格は暴落しないだろう。高齢化が進み、営農継続が厳しい農家もおり、26年産のコメの値段がどこで落ち着くのかが大事だ。 (入江剛史)
2025年(令和7年)07月18日(金)