筑豊第602回 臨時情報を「防災訓練」に 東京新聞記者、小沢氏公演
西日本政経懇話会11月例会が27日、飯塚市であり、東京新聞社会部記者の小沢慧一氏=写真=が「南海トラフ地震 確率水増し問題と臨時情報の正体~科学と防災行政の歪な関係とは」と題して講演した。要旨は次の通り。
南海トラフ地震の発生確率は「30年以内に70~80%」と政府の地震調査委員会は公表している。しかし、ある地震学者から「確率が水増しされている」と告発を受けた。南海トラフ地震だけが、他の海溝型地震と異なり「時間予測モデル」という手法で確率を出していることを知った。
他の地震が採用する手法で、南海トラフ地震の発生確率を算出すると20%まで下がる。モデルの根拠とされる江戸時代の古文書も調べたが、内容が不正確で問題がある。各手法から導いた発生確率を併記して公表するべきだ。
一方で発生確率の高低より、世界規模で見れば「日本はどこでも地震が起きやすい」ことに目を向けるべきだ。日本の国土は世界の0・25%だが、世界のマグニチュード(M)6以上の地震のうち2割は日本で起きるからだ。
気象庁は8月、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表した。科学的には根拠が薄い情報ではあるが、数年に1回の防災訓練と捉え、みんなで備えを見直し、行動を取る「新習慣」としてほしい。
(吉田真紀)
2024年(令和6年)11月28日(木)