福岡第615回 ソ連と戦った抑留者/ 井手氏が実相を語る
西日本政経懇話会4月例会が25日、福岡市であり、ジャーナリストの井手裕彦氏が「戦後80年『シベリアにいたサムライ 収容所からソ連と対決した博多出身の男』」と題して講演した。要旨は次の通り。
1956年、日ソ共同宣言が調印された。自国領に連行した日本人抑留者を“人質”に交渉する当時のソ連に対し、収容所から「自分たちのために祖国が不利になるのなら切腹自決する覚悟がある」との抗議文書を送った抑留者がいた。
旧制福岡高校、九州帝国大学出身で満州国政府の官僚だった瀬崎清さんだ。11年に及ぶ抑留生活で、他にも2通の文書を出し、兵卒扱いだった自らの処遇改善をソ連に認めさせた。
日本人は国際舞台で理路整然と主張することが苦手と言われる。明日をも知れない状況下で正義を貫くサムライ精神を持ち、行動を起こした人がいたことを知ってほしい。 (平峰麻由)
2025年(令和7年)04月27日(日)