北九州第604回 「鉄の街」のDNAを産業政策に/日本総研の石川智久氏
西日本政経懇話会3月例会が19日、小倉北区であり、日本総合研究所調査部長でチーフエコノミストの石川智久氏が「激動の世界経済~日本と九州は何をすべきか」と題して講演した。要旨は次の通り。
2025年は、米国が保護主義・孤立主義に本格的に移行する歴史的な構造転換の年になる可能性がある。内需の低迷でデフレが長期化する中国は輸出攻勢を強めており、世界の製造業の重しとなることが懸念されている。
トランプ米政権による世界経済への影響の一つにサプライチェーン(供給網)の大変革が挙げられる。対中関税の引き上げで、中国にある工場を他の国や地域に移そうという話が増えている。世界全体の経済成長率は26年にかけて3%台前半を予測。だが、トランプ政権の関税政策が全て実行されると、軽い景気後退となるリスクがある。
各地域は独自の産業政策が必要。九州は豊富な水資源や安定した電力といった強みを生かし、供給網の大変革をチャンスにすべきだ。日本政府の食料輸出強化も農業県には好機。防災や復旧の対応力の高さをビジネスに生かせないか。
北九州市は24年、転入者数が転出者数を60年ぶりに上回り、政府内でも話題になった。努力して企業誘致や産業強化に取り組めば、人口は増えていく。地域にはそれぞれのDNAがあり「鉄の街」として発展した北九州市は、未来型の製造業の誘致も進めるべきだろう。 (田中良治)
2025年(令和7年)03月20日(木)