北九州第570回 「3回目接種 急いで」/2年後には終息も/西日本政懇/二木氏 コロナ対策話す
西日本政経懇話会2月例会が7日、小倉北区のホテルであり、昭和大医学部の二木芳人客員教授(感染症学)が「新型コロナウイルス感染症終息へのシナリオ」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
今の日本の感染爆発は、今週中にピークを迎える可能性がある。注目しているのはその後だ。変異株「オミクロン株」が最初に確認された南アフリカや、先に感染爆発が起きた英国では急速に感染者が減っているが、日本が同じようになるとは限らない。
日本は南アフリカと違って高齢者が多く、英国のように3回目のワクチン接種が進んでいないからだ。感染者が高止まりする恐れはある。今振り返れば、昨年12月に第5波が急速に収まったのは、接種が進んだことが大きい。だからこそ、高齢者への3回目の接種を急がなければならない。
感染者の同居家族などを検査せずに陽性者とする「みなし陽性」は、むちゃな話だ。診断なしで感染者として世界保健機関(WHO)に報告している先進国は他にない。圧倒的に検査数が少ないのが問題だ。米国では各家庭に抗原検査キットを配っているほどだ。
オミクロン株がコロナウイルスの最終形態とは思えない。遺伝子の変異が多く、もっとスリム化すると思う。終息までにまだ一波乱、二波乱あるだろう。それでも、ウイルス自体が生き残るために、感染力は強いが目立たないものになっていくだろう。希望的観測だが、2024年には「コロナも風邪みたいになった」と言えるかもしれない。
ただ、コロナが終息しても、(別の新たな感染症による)パンデミック(世界的大流行)は必ず来る。明日来るかもしれない。「とにかく嵐が過ぎるのを待つ」というのは賢くないやり方だ。感染症に対応できる社会をつくっていくことが大事だ。 (伊東秀純)
2022年(令和4年)02月08日