西日本政経懇話会

筑豊第574回 「一体化を図る中国」/岡本・京都府立大教授

 西日本政経懇話会4月例会が5日、飯塚市であり、京都府立大文学部教授の岡本隆司氏(近代アジア史)が「アジア史から見える日本史・中国史」と題して講演した。要旨は次の通り。筑豊 岡本隆司.jpg 

 日本は明治維新以降、西欧の組織や考え方を採り入れた。国会の仕組み、立憲君主制、最近はコンプライアンス(法令順守)の言葉もそうだ。日本人にとって西欧はなじみやすい一方、中国は近くにありながらその歴史的経緯を西欧と同じようには解き明かせない。
 明・清の王朝が治めた14~20世紀にかけて、中国では特徴的な多元化が進み、それを前提とした統治が行われた。つまり、使う文字や生活様式が違う民族などがそれぞれ自由に動き、王朝はそれに口を出さない。その結果、欧米列強に付け入られて国をバラバラに割られる危機もあった。
 現代中国は、元来バラバラな国民の一体化を図ろうと成功と失敗を重ねている。欧米諸国が、人権侵害があると非難する新疆ウイグル自治区での問題も、その過程で起きている摩擦と言える。 (坂本公司)

2022年(令和4年)04月06日

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