北九州第572回 「国の〝履歴書〟見て」/岡本氏 中国と日本の違いを講演
西日本政経懇話会4月例会が6日、小倉北区であり、京都府立大文学部教授の岡本隆司氏
(近代アジア史)が「アジア史から見る中国・日本」と題して講演した。要旨は次の通り。
日本はユーラシア地域の東端に位置し、農業をし、定住生活をしてきた。西端の西欧と条件が似ており、明治以降、西洋の組織や考え方を取り入れてきた。一方、大陸内部の乾燥地域は遊牧社会で、14世紀まで大陸の大部分をモンゴル帝国が治めた。違う条件から生まれた歴史が続いているので、日本は中国のことを理解しづらい。
18世紀の清朝は、モンゴルやチベットなどの体制をそのままに王朝として統合し、共存していた。
欧米列強が国内に勢力を伸ばし、20世紀初めに日本から「領土主権」「国民国家」という西洋的な考え方が入ると、国をバラバラにされるのは恥と考えるようになった。
現在、中国が「一つの中国」を「夢」と言うのは本当で、実現していないということだ。チベット動乱や香港国家安全維持法はその過程で起きている。
中国が日本と違って見えるのはなぜか、分からなければ対立ばかりになってしまう。国の“履歴書”である歴史に目を向けてほしい。 (後藤希)
2022年(令和4年)04月07日