筑豊第608回 理解し、生きやすい社会を 西日本政懇 クレシーニさん講演
西日本政経懇話会の5月例会が23日、飯塚市であり、北九州市立大准教授で、本紙くらし面でコラム「アンちゃんの日本GO!」を連載中のクレシーニ・アンさんが「日本人になったアンちゃんが考える『多様性』」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
1997年に初来日し、一番困ったのは日本語だった。日本で使われる「ベビーカー」などの和製英語は英語圏では通じない。英語が母語の私は「変な英語だ」と見下していたが、「和製英語は日本語」とする論文に衝撃を受けた。日本語として尊重しないといけないし発音しやすく覚えやすい、魅力ある日本語と思うようになり、日本文化を見直すきっかけにもなった。
和製英語を見下していたときは無意識だった。アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)は誰もが持ち悪気がないから、なかなか直せない。発言や行動に出て、押しつけや決めつけになってしまうから気を付けないといけない。
日本社会では見た目で判断しがち。2023年に日本国籍を取得後、「早く日本から出て行け」と誹謗(ひぼう)中傷を受けた。生きやすい社会をつくるためには、相手を理解し、違いから学び、違いを認める多様性が大切だ。多様性の中の大事な一つが個性。「出るくい」も「出ないくい」も「出てるようで出ていないくい」も全ての人が「変わらんでいいよ」と言えるようになること。これが本物の多様性だと思う。(吉田真紀)
2025年(令和7年)05月25日(日)