北九州第586回 食事で認知症予防/ 吉野九州歯科大教授が講演
西日本政経懇話会7月例会が13日、小倉北区のJR九州ステーションホテル小倉であった。九州歯科大共通基盤教育部門教授の吉野賢一氏が「脳からみた『人の食べる』~食べて脳トレ・認知症予防」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
一般的に人間は目で物を見ると言われるが、脳科学的には目ではなく脳で見ている。同じ物を見ても脳をどう働かせるかで見える物は変わる。人は注意を払った物しか見えず、記憶にも残らない。
認知症は脳の病気で誰もがなり得る。予防には脳トレが必要だ。日常の少しの工夫で脳は鍛えられる。工夫とは、何でもよくかんで、おいしく楽しみながら食べられる健康な口で食事することだ。
人の「食べる」という行為は特別で、食事中は他人と顔や目を合わせ、心を通い合わせている。満腹や空腹の時は、脳を働かせて相手の気持ちや状況を踏まえて自らの感情や行動を抑制、制御して食べる、食べないを判断する。
食事は、外部の物を体内に取り込む危険な行為でもある。だからこそ注意を払って食べるため、食事に関することは記憶しやすい。
健康な口での食事は、ストレスなく脳を鍛えられ、認知症予防に直結する。歯科医院で口内環境が悪くならないようメンテナンスをしてほしい。 (笠原和香子)
2023年(令和5年)07月14日(金)