北九州第565回 大阪経済大の福本教授が講演/ 「倍増」掲げる中国 鍵はデジタル化
西日本政経懇話会の9月北九州例会が3日、小倉北区のホテルであり、元日銀北九州支
店長で大阪経済大教授の福本智之氏が「米中対立下の中国経済の先行き」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
米中対立は長期化することがはっきりしている。中国は対内的に「弱腰だ」と言われるのを避けるため、米国の制裁に対抗する措置はとっているが、その運用は極めて慎重。これはサプライチェーン(供給網)を切られないための「抱きつき」で、時間を稼ぐのが中国の戦略だ。
中長期的な目標として、習近平国家主席は「2035年までに経済規模や1人当たりの収入を倍増させる」としている。「倍増」は平均成長率で4・7%くらいを意味し、中国が経済規模で米国を抜くことを射程に入れた目標ということになる。
ただ、中国も高齢化の影響で貯蓄率が下がり、投資が減速していく。経済成長の鍵の一つがデジタル化。中国ではスマート農業が進んでおり、農業用ドローンの販売が前年比3・5倍に増えている。6次産業化は日本が提唱した概念だが、中国が先を行っており、日本が学ぶべきこともあると思う。 (横田理美)
2021年(令和3年)09月04日