西日本政経懇話会

12月 全地区合同例会 「アジアに優しく開かれた街に」/天神1丁目の未来/西鉄、福岡地所、博多大丸、三菱地所/4社トップら討論

【基調講演】「天神1丁目の過去と今をつなぐ」     益田さん.jpg   

 ■講師  近現代史研究家 益田啓一郎氏

【パネルディスカッション】「天神1丁目の未来を考える」

      ■登壇者  西日本鉄道株式会社 代表取締役社長執行役員 林田浩一氏

            株式会社博多大丸  代表取締役社長 村本光児氏

            福岡地所株式会社  代表取締役社長 榎本一郎氏                              

            三菱地所株式会社  九州支店長   草野重徳氏

      ■コーディネーター  株式会社西日本新聞社  取締役会長 柴田建哉

                                

 天神1丁目では現在、来年4月に開業する大型複合ビル「ワン・フクオカ・ビルディング(ワンビル)」の建設が進み、外観が確認できるまでになった。西日本鉄道の本社があった福岡ビルなど三つのビルを集約した九州最大規模の建物で、同社の林田浩一社長は完成後の天神地区について「建物は時代とともに素晴らしいものになるが、福岡の古き良き思い出や情の厚さ、人との距離の近さなどが残る『居心地がいい街』にしたい」と強調。「(工事で移転した)西鉄(本社)も天神に戻る。いろいろな仕掛けに取り組みたい」と意気込んだ。
 天神ビッグバンの認定第1号として2021年に完成したオフィスビル「天神ビジネスセンター」を手がけた福岡地所の榎本一郎社長は「福岡の魅力は天神に凝縮されている」と明言。隣接地で建設している新ビルについても「天神にふさわしい、働く空間をつくり上げる」と力を込めた。
 21年に閉館した商業ビル「イムズ」跡地では26年末の完成に向け、新しいビルの工事が進む。建設する三菱地所の草野重徳九州支店長は「イムズのチャレンジ精神を引き継ぎながら、新たな価値を提供したい」と宣言した。
 来年で呉服町から現在の天神に移転し、50周年を迎える博多大丸の村本光児社長は「天神の街の変化とともに博多大丸も成長してきた。街の大きな変わり目にどう変化できるかが求められている」とし、富裕層やインバウンド(訪日客)向けの取り組みを紹介した。
 ビルの建て替えが相次ぐ中、福岡市中心部はオフィスが供給過剰ではないかとの指摘もあったが、榎本氏は「供給量は今後落ち着く。東京では高い賃料を払ってでも社員が働きやすい環境を整える企業が増えている」と説明。草野氏も「人口に対するオフィスの数では、福岡はまだ余白がある」との見方を示した。
 再開発後の天神の未来について、林田氏は「交流が広がって天神がにぎわうことが非常に重要」と提言。榎本氏も外資系企業を呼び込むことを念頭に「言葉や決済(の違い)の問題などを解決し、『アジアに優しく開かれた街』にしていきたい」と語った。
 パネルディスカッションは西日本政経懇話会12月合同例会の一環として開かれた。基調講演では、近現代史研究家の益田啓一郎氏が「天神1丁目の過去と今をつなぐ」と題し、明治期から現在に至る天神地区の発展の歴史を説明した。 (下村ゆかり、津留恒星)

2024年(令和6年)12月13日(金)

                               

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