久留米第571回 「気候変動は慢性的緊急事態」/斎藤氏が講演
西日本政経懇話会3月例会が2日、久留米市であり、大阪市立大大学院の斎藤幸平准教授=写真=が「なぜ『新しい資本主義』は危機を解決できないのか」の演題で講演した。斎藤氏は資本主義の行き詰まりと新たな社会主義モデルを提示する著書「人新世の『資本論』」がベストセラーになった。要旨は次の通り。
国連の気候変動に関する政府間パネルは、気候変動対策の遅れで持続可能な未来を逃すと警告した。いわば「慢性的緊急事態」で、コロナ禍と比較にならないほどの人的・社会的被害のリスクが高まっている。
持続可能な開発目標(SDGs)や、環境問題投資で雇用を生む「新しい資本主義」では到底間に合わないほど深刻な危機で、生活様式の大胆な転換が不可欠だ。過剰な消費をなくし、労働時間を短くする。脱成長で国内総生産(GDP)は減るだろうが、二酸化炭素を減らし、幸福度を上げられる。 (大矢和世)
2022年(令和4年)03月03日