久留米第551回「情報は根拠の考察を」 久留米で政懇 呉座勇一氏が講演
西日本政経懇話会1月例会が27日、久留米市であり、国際日本文化研究センター助教の呉座勇一氏が「陰謀の日本中世史と現代社会」のテーマで講演し、現代でも情報を判断する際には根拠の考察が必要と説いた。要旨は次の通り。
1582年に明智光秀が主君の織田信長を討った本能寺の変は、史料が残っておらず動機は不明だ。このため多くの陰謀論がある。光秀の背後に朝廷、イエズス会、徳川家康などがいたと主張する「黒幕説」だ。
陰謀論は単純明快で飛びつきやすいが根拠の史料がない。歴史学者は、自分の仮説に沿った史料を見つけても、慎重に確認する。
「教科書が教えない歴史」のような通説を否定する本がある。だが通説は多くの研究者が積み上げた成果で簡単に崩れない。陰謀論を支持する人は、通説にも目を通し読み比べてほしい。これは現代のニュースや情報の判断にも必要な態度だ。
(野津原広中)
2020年(令和2年)01月28日(火)