西日本政経懇話会

北九州第598回 前中国大使・垂氏が講演/「習近平体制をどう理解するか」 

北九州 垂.jpg 西日本政経懇話会9月例会が12日、北九州市であり、立命館大教授で前駐中国大使の秀夫氏が「習近平中国をどう理解するか?」と題して講演した。要旨は以下の通り。
 習近平(国家主席、共産党総書記)体制の中国は過去と全く違う国になった。党規約では、党の最高意思決定機関「中央政治局常務委員会」のメンバーは全員同格だったが、習氏は党規約を変えずに事実上、自らの部下に位置づける変更を行った。鄧小平氏から続いた集団指導体制は、1人支配体制に変わった。
 国家目標も大きく変化した。経済成長が目標だった胡錦濤時代には腐敗・汚職や環境汚染、貧富の格差があり、暴動やデモが多発した。習氏は党が倒れることを危惧し、目標を「強い中国」「国家の安全」に変更した。権力闘争を行いつつ汚職に対処。至る所に監視カメラが設置される社会に。寄付を求められる富裕層は世界各地に逃げた。
 外交姿勢も変わった。強い中国の実現には、西側の中心、米国との闘争になる。ロシアと世界秩序を変えようとしているのは、米国を意識するためだ。中国が見ているのは米国だけ。日本は見ようともしない存在になっている。 (井崎圭)

2024年(令和6年)09月13日(金)

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