西日本政経懇話会

久留米第576回 来年度にアフターコロナ期「景気は緩やかに回復」/三菱UFJコンサル、小林氏が講演

 西日本政経懇話会9月例会が6日、久留米市で開かれ、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京)の主席研究員、小林真一郎氏が「アフターコロナ期の景気を展望する」と題して講演した=写真。

小林氏は日本長期信用銀行(現新生銀行)や外資系資産運用会社を経て、1999年に入社。現在は経済ニュース番組にレギュラー出演している。要旨は次の通り。

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 日本経済はこの2年半、新型コロナの感染状況に大きくほんろうされてきた。感染が収まると景気回復が進むが、感染拡大すると失速するということを繰り返してきた。ただ、当初と比べると、景気にとって大きなマイナス要因ではなくなってきている。
 景気動向を探る実質GDP(国内総生産)は3四半期連続のプラス成長となった。オミクロン株の流行が落ち着いた後、今年の大型連休は行動制限がなく、宿泊やレジャーなどの個人消費が好調だった。
 一方で、足元の物価上昇や各国の金融政策引き締めが、新たな下振れ材料となる。ウクライナ侵攻の長期化などで、世界経済は減速する懸念が強まっている。日本では原油高騰や円安の長期化が影響し、貿易収支の赤字幅が拡大している。
 ただ、コロナ禍により抑制された支出の「リベンジ消費」や、コロナ禍でも過去最高水準の利益率を更新する企業業績が景気を下支えする。来年度以降は、感染による経済活動への影響が小さくなる「アフターコロナ期」となり、景気の緩やかな回復基調が続くのではないか。 (山下真)

2022年(令和4年)09月07日

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