筑豊第582回 温暖化対策は今後7年が正念場/西日本政経懇話会/NHKエンタープライズの堅達氏
西日本政経懇話会1月例会が26日、飯塚市で開かれ、
NHKエンタープライズエグゼクティブ・プロデューサーの堅達(げんだつ)京子氏が「脱炭素社会へ向けて、いま私たちにできること」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
脱炭素をテーマに15年以上番組を制作してきた。その経験から迫り来る温暖化の危機を感じている。
産業革命以降、現在の世界の平均気温は1度ほど上がった。これが2度前後上昇すると、永久凍土が溶けてメタンガスが放出されたり、アマゾンに雨が降らずに森林が枯れて二酸化炭素(CO2)の吸収量が減ったりしてドミノ倒しのように温暖化が進んでいく。
このため、気温上昇を1・5度に抑えることが不可欠で、地球の防衛ラインとも言える。2030年までにCO2の排出量を10年比で半減させないと達成は難しい。今後7年間が正念場で、脱炭素へのパラダイムシフト(転換)が必要だ。
ただ、日本は消極的だ。再生可能エネルギーは欧米に比べて普及が遅れ、火力発電への依存も大きい。日本が50年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を進める中、マイボトルやエコバッグを利用するなど、まずは私たち一人一人の意識から変えていくことが大切。消費者の行動が変われば、(製品やサービスを供給する)企業も行動を変えざるを得ない。 (大橋昂平)
2023年(令和5年)01月27日(金)