西日本政経懇話会

福岡第591回 ロシアのウ侵攻、「日本の安保にも影響」/河野前統合幕僚長

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 西日本政経懇話会2月例会が8日、福岡市博多区であり、

前防衛省統合幕僚長の克俊氏(68)が「今後の日本の安全保障とその課題」と題して講演した。要旨は次の通り。

 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ侵攻を戦争ではなく国内治安問題と捉えている。両国は同根であり、ウクライナの独立が許せないという歴史観がある。ただ、末端の兵士には目的が伝わらず、ロシアが戦力を一気に投入しなかったことなどから予想外の長期戦となった。歴史観が原因のために落としどころが見えず、今後も長期化する。

 日本の安全保障にも影響がある。核拡散防止条約(NPT)で核保有が認められたロシアが核を持たぬウクライナを核で脅したことは北朝鮮に核保有の正当性を与えた。米国が核戦争を懸念して軍事介入しなかったことは、米国の核の傘に守られているという日本人の安心感にも影響を与える。
 日本の一番の懸念は中国だ。中国は、米国に対抗する上で(南西諸島から台湾、フィリピンを結ぶ)「第1列島線」を固めようとするが、列島線上に米国と関係の深い台湾があることがネックになる。「海洋強国」を掲げる中国が、中長期的な米国との対決を目指すならば、台湾有事はそう悠長な話ではないというのが私の見方だ。 (古川大二)

2023年(令和5年)02月09日(木)

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