西日本政経懇話会

筑豊517回 「外交解散あり得る」/安倍政権テーマに御厨貴氏が講演

7227eed8dc3084b2e6e095f325321dd20acd4cd1.jpg 西日本政経懇話会の12月合同例会が13日、福岡市中央区の西鉄グランドホテルであった。「安倍政権4年の総括と展望」と題して御厨貴・東京大名誉教授(65)が講演し、約280人を前に「もし衆院の解散があるとすれば、北方領土問題や日米関係、東アジアの国際安全保障などを巡る外交解散だ」と語った=写真。

 政治史や政治学が専門の御厨氏は「政策の問題を一つ一つ丁寧に解決していく方法はとらず、『選挙に勝てば官軍』が安倍政権」と分析。カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案を巡り、連立を組む公明党と亀裂が生じていることなどを踏まえ「難しい問題はまとめて国政選挙で片を付ける。ばくちを打って勝ち続けるのが安倍政権だ」と指摘した。

 英国の欧州連合(EU)離脱や、米次期大統領へのトランプ氏就任など世界情勢が右寄りになっているとし、「安倍さんは歴代総理で唯一、右の勢力とあからさまにつながっているが、右的アイデアリズム(理想主義)ではなく、政治的リアリズム(現実主義)を最後には選ぶ。これを来年も続けるかどうか見ていきたい」と注目点を述べた。

 天皇陛下の退位を巡る有識者会議の座長代理でもある御厨氏は「陛下が退位の話をされたことで、天皇の存在をはじめて正々堂々と議論する場ができた。結論ありきの会議ではなく、安倍さんも議論の成り行きをみている」と語った。

 (坂本信博)

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