筑豊522回「トランプ政権との協調不安」/中野晃一氏が講演
西日本政経懇話会5月例会が19日、飯塚市片島のパドドゥ・ル・コトブキであり、上智大国際教養学部の中野晃一教授が「世界の中で日本の政治状況をどう見るか」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
世界政治はベルリンの壁崩壊によって資本主義陣営の勝利ということになったが、今先進国で起こっているのは貧富の差拡大による極右勢力の台頭だ。米国ではトランプ大統領が誕生し、仏大統領選ではルペン国民戦線党首が健闘した。大統領選での絶対得票率(全有権者数に占める得票)はトランプ氏25%でルペン氏も約22%。選挙制度の違いが運命の分かれ道だった。
日本でも1990年代以降社会党が崩壊し、民主党も国民の信頼を失うなど、自民党1強多弱の状況となった。安倍晋三政権の高支持率は「ほかに適当な人がいない」という理由で保たれているが、衆院選小選挙区での安倍自民党の絶対得票率は約24%にすぎない。
それなのに安倍政権は安保法制や原発政策など、個別には反対意見が多い施策も数の力で進めている。今後は集団的自衛権行使などで北朝鮮に強硬なトランプ氏に協調する可能性もあり、その危険性を意識する必要がある。
(糸山信)