筑豊525回 「解散理由は疑惑のリセット」/一橋大院教授の中北氏が「表層・深層」講演
西日本政経懇話会9月例会が21日、飯塚市片島のパドドゥ・ル・コトブキであり、一橋大学大学院社会学研究科教授の中北浩爾氏が「安倍政治の表層・深層」と題して講演した。講演要旨は次の通り。
安倍自民党の強さは、首相のリーダーシップで与党内が結束していることと、対抗勢力に比べ有権者の支持を集めていることの2点から分析できる。
党内対立をあおった小泉氏とは対照的に、安倍氏は派閥の領袖(りょうしゅう)クラスを閣僚などに登用し、公明党にも選挙の時期などで配慮を欠かさない。アメとムチの使い分けができている。
自公の強さの基盤は固定票の多さ。民共勢力の1・5倍以上はあると考えてよい。自民も党員自体は減少が続くが、投票率が下がっているため相対得票率で優位を保っている。
順調だった安倍政権もスキャンダルや都議選の敗北で支持率は急落したが、内閣改造で局面が打開され、前原民進党のつまずきもあって、ここに来て衆議院の早期解散が浮上している。
解散の大義は何かが注目されるが、一番大きな理由は森友・加計疑惑のリセットではないか。自らの問題で解散を選ぶのは「賭け」であり、実はそれだけ追い込まれている。現状では勝つ可能性が高いが、負ければ退陣は必至。民進も敗北すれば党がなくなる可能性もある。日本政治への影響はかなり大きなものになる。
2017年9月22日