西日本政経懇話会

久留米第611回 「日韓両国で信頼関係を」/共同通信社の佐藤大介氏

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 西日本政経懇話会11月例会が18日、久留米市内であり、共同通信社編集委員兼論説委員の佐藤大介氏が「李在明政権の今後と日韓関係」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
 韓国では政権交代し、李在明政権が発足した。李氏は赤貧で、小学校卒業後は少年工として工場で勤務しており、権力や富に強い執着があるとされる。過激な発言で「韓国のトランプ」とも言われたが、人心掌握にたけた人でもある。ただ、理念や本心は読み切れない、風見鶏ではないかとの見方もある。
 李氏は理念より実を取る「実用主義」でもある。日本や米国と協力して国益を守ることが大事だという考えを示す。かつては日本に対して「敵性国家だ」と発言したが、昨年末には「日本には親愛の情がある」と述べ、変化した。日韓関係を悪化させてまで、歴史や領土問題を解決しようとする意思はないようだ。
 韓国では右派政治家の高市早苗首相に、日本では左派政治家の李氏に対して不安があった。現状では両国の不安は回避しているが、韓国側にとっては靖国神社参拝や「竹島の日」対応、日本側にとっては世論の変化を受けた「ちゃぶ台返し」や政権低迷時の「対日カード」などの懸念が残る。日韓両国で信頼関係を築き、(歴史問題という火種を)管理できるようにすることが重要だ。 (岡部由佳里)

2025年(令和7年)11月20日(木)

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